住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

梅雨明け後の室内での熱中症に注意 在宅時間の増加でリスク高まる

気温の上昇とともに警戒レベルが上がる熱中症。梅雨明け後に熱中症警戒アラートが連日発表されるようになると、死亡者数が急増することも分かっており、梅雨明けを迎える今後の対策が非常に重要になっています。

消防庁の統計によると、2020年の6~9月に熱中症で救急搬送された人は、全国6万4869名でした。2019年が7万1317名でしたので、2000名ほど減少しています。

しかし、住居で熱中症が発症し、救急搬送された人は2019年の2万7500名から600名ほど増えています。全体の緊急搬送者数が減少したにも関わらず、住居内で熱中症になり、医療機関に搬送された人は増えているのです。

もしかしたら、コロナ禍のなかで在宅時間が増えたことが影響しているのかもしれません。

ちなみに、発生場所については住居が2万8121名で最も多くなっています。全体で43.4%を占めています。屋外(公衆)が6130名なので、いかに住居内の熱中症リスクが高いかが分かります。

厚生労働省では、室内での熱中症を予防するために―

①扇風機やエアコンを使った温度調整や遮光カーテン、すだれ、打ち水の利用
②室温のこまめな確認
③WGBT値を参考にする

―ことなどを推奨しています。

WGBT値とは、気温、湿度、輻射(放射)熱から算出される暑さの指数。運動や作業の度合いに応じた基準値が定められています。具体的にはWGBT値が21未満であれば適時水分補給、21~25で積極的に水分補給、25~28で積極的に休息、28~31で激しい運動は中止、31以上で運動は原則中止と定められています。環境省の熱中症予防情報サイトで全国のWGBT値などを公表しています。

室内の温度については、マンションなどの集合住宅では昼間の温度上昇は少ないものの、朝まで温度が下がらないケースが多いことが分かっています。とくに最上階などではその傾向が強く表れることが多いようです。

対して戸建住宅の場合、外気温の変化に伴い室温が上がったり、下がったりします。こうした住宅形態による室温の変化を考慮して、エアコンなどを適切に使用するように心掛けましょう。

また、室内での熱中症の発生場所のベストスリーは、リビング、寝室、トイレとなっています。

コロナ禍によって在宅時間が増えているだけに、より快適な温熱環境を実現しながら熱中症リスクを抑制しましょう。