日本政府は、2030年までに13年比で温室効果ガスを46%削減すると世界に対して約束しました。そして、この目標を達成すために家庭部門の温室効果ガスを66%も削減するという計画も公表されています。
しかし、どうすれば家庭部門の温室効果ガスを66%も削減できるのでしょうか。家庭部門の温室効果ガス排出量は、1世帯当たりの家電所有数の増加などによって思ったように減っていないのが実情です。66%削減という目標値は非常に高いハードルなのです。
こうした状況下であらためて注目を集めているのが太陽光発電です。家庭用の太陽光発電については、余剰電力を一定の値段で売却できるFIT制度によって大きく普及が進みましたが、買取価格の低下とともに普及の速度が鈍くなってきています。
資源エネルギー庁の資料によると、2020年の新築住宅に設置された太陽光発電の設置費用の平均はkW当たり28.6万円となっています。例えば4㎾の太陽光発電を設置すると、114万円以上の費用が必要になるわけです。FITによる売電益や光熱費の削減効果によって初期費用をある程度までは回収できるでしょうが、100万円以上の初期費用がかかるとなると、少し二の足を踏んでしまう人もいるのではないでしょうか。
とは言え、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、できることはやっていきたい―。そういう方が知っておきたいものが、PPA(Power Purchase Agreement)モデルです。これは、初期費用0円で太陽光発電を設置できるものです。
PPA事業者が住宅の屋根に太陽光発電を設置します。住宅所有者から建物の屋根を借りて、そこに太陽光発電を設置するイメージです。もちろん設置費用はPPA事業者が負担します。住宅所有者は屋根を貸す代わりに、太陽光発電で発電された電力を使用できます。自宅で消費しきれない余剰電力は電力会社などに売電しますが、その収益はPPA事業者が得ます。また、住宅所有者はPPA事業者から有償で電力供給を受けます。
PPA事業者にとっては、自社の電力サービスで収益を得るだけでなく、売電益も得ます。住宅所有者は、0円で太陽光発電を設置でき、発電した電力を利用できるというメリットがあります。
また、多くの場合、一定期間が過ぎると太陽光発電の所有権は住宅所有者に無償で譲渡されます。
0円で低炭素生活の“はじめの一歩”を踏み出したい―。そういう方々にとっては、PPAを選択肢のひとつとして考えてみてはどうでしょうか。