住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

避難所になる住まいをつくる その①

防災住宅の先へ 災害後の生活維持を見据えた 対策が重要に

3.11 東日本大震災から5年……近年、地震だけでなく、大型台風やゲリラ豪雨、竜巻、大雪などの自然災害が頻発しています。
こうした災害の被害を、私たちはどのように下げることができるのでしょうか?

例えば、内閣府は、2012年8月に南海トラフ巨大地震の被害想定を公表していますが、ここでは最大で死者数が32万3000人、倒壊家屋数が238万2000棟に達すると予測しています。

ここで注目されるのは「1週間以上の食料や水などの備蓄が必要」と指摘している点です。
これまで災害に対する備蓄は、3日分あれば十分と考えられてきました。それだけの時間があれば公的な支援物資が届くと考えられていたからです。しかし、災害が大規模化すればするほど、こうした支援は届きにくくなります。

また、災害による避難者が増加することで、避難所が足りなくなる事も予想されます。その混乱を避けるため、住宅が倒壊した人や高齢者などを優先的に避難所に収容することが提案されています。
つまり、家が無事だった人や若く健康な人には自宅非難を促すというわけです。

あなたの暮らす地域が大規模な災害に見舞われた時、自宅が“避難場所”になりえますか?
これから、住まいづくりにそうした視点が必要となるのかもしれません。

「避難時になる住まい」を実現するためには、どのような他対策や配慮が求められるのでしょうか。
次回以降のコラムで「エネルギー」「飲料水」「食料」「トイレ」といったカテゴリー別に見ていきます。