住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

マドリ、イロイロ、イロトリドリ

間取りの力を考える<その1>

理想の住まいを考える時、やはり間取りをどうするのかという点で悩むことも多いのではないでしょうか。
では、理想的な間取りとはどういうものなのでしょうか。

結論から先に言うと、間取りに正解はないと言っていいでしょう。それぞれの住まい手のライフスタイル、家族構成、さらには周辺環境などによっても間取りの“正解”は変わります。

ここでは最近の間取りに関するトレンドなどを紹介していこうと思います。

最近の住まいづくりの傾向として、「個室化」を進めるのではなく、できるだけ仕切りが少ない空間を創造しようという住宅が増えています。とくに1階部分については、キッチンからリビングなど一体空間として設計するものが一般的になってきています。そのうえで、2階部分にそれぞれの家族のプライベート空間となる個室を設けるのです。

1階部分をオープンな空間にすることで、家族のコミュニケーションを活性化させるという効果も期待できます。

日本の住宅は個室化を推し進めていきました。その結果、家族同士のコミュニケーションが希薄になっているのではないかという指摘もありました。ただし、オープンな空間にすれば家族のコミュニケーションが必ず活性化させるかと言うと、そうとも限らないという意見もあります。

人間がコミュニケーションを行うためには適度な距離感が必要であるという考え方もあります。ちなみ、昔の日本の家庭にあったちゃぶ台の直径は1~1.2m。この距離感がコミュニケーションには最適であるという意見もあります。

最近でオープンな空間でありながら、一部に隠れ家的な場所を設けようという間取りも目立ちます。例えば、オープン空間の一部を低くしたりすることで、縦方向の変化を付けることで、開放感がありながら、少し隠れることもできるという空間を創造しようという住宅が登場してきています。キッチンの横のちょっとしたスペースに机を置いて、お母さんのための籠り空間を創り出そうという家もあります。

オープンな空間で家族の気配を感じつつ、プライベートな時間を過ごす―。こうした相反するテーマに取り組もうとしているのです。子育てという観点で言うと、幼少の頃であれば、子ども部屋で勉強をするよりもリビングなどで勉強をした方が、学習効果が高いという調査結果などが明らかになっています。

そこで、キッチンやリビング空間に子どもが勉強できるスペースを設けようという提案も注目されています。リビングなどで勉強した方が、分からない問題などを直ぐにお母さんなどに質問することができます。
こうした点も以前の住宅とは変わってきていと言えるでしょう。

三井ホームの「chou chou(シュシュ)」では、「プチ・リュクス」という女性が家族の気配を感じつつ、「個」の時間を過ごせる空間をキッチン横に設置している。