今年5月に「空家対策特措法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)が施行となりました。この法律により、特に周辺環境な悪影響を与えると指定された「特定空家」に対し、修繕などの指導・助言・勧告・命令できるようになりました。命令に従わない場合は罰金、さらには強制的な除去もあり得ます。
今、すべての住宅のうち8件に1件が空き家となっています。こうした空き家の中には、古く危険なものもあります。また、人が住まない建物は周辺環境や防犯面からもけっして好ましいものではありません。行政がその対策に乗り出したのも無理からぬ話です。
しかし、なかには「危険なことは分かっているが、修理するにせよ、取り壊すにせよコストがかかり…」と困っている人もいるのではないでしょうか。
そこで、一つの支援策として打ち出されたのが、所得税を減税する「空き家の発生を抑制するための特例措置」です。
これは国土交通省の平成28年度税制改正要望に盛り込まれたもの。
空き家化している住宅の多くが耐震性の低い建物であること、空家となった契機として「相続時」が最多であること、耐震改修や除去には150万~250万円という費用がかかることなどから、旧耐震基準で建築された住宅を相続し、耐震リフォームもしくは除去を行った場合、上限25万円を所得税額から控除するものです。
この制度の目的は、国がリフォームや除去の費用を支援することで、空き家の発生を抑制すること。
現在、要望段階にあり、この制度が実施されるかどうかわかりませんが、実現すれば親から相続した古い家の扱いに困っている人にとって朗報となりそうです。