住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

住宅が健康づくりの場に

平均寿命ではなく健康寿命を延ばすために出来ること

超高齢化の到来によって、わが国の公的な医療費は増える一方です。このままで国の財政は今以上にひっ迫してしまいます。こうしたなか、病気になってから治療を行うという対処療法ではなく、日常の生活習慣を見直し、そもそも病気になり難くい体にしようという予防医学の重要性が高まっています。

日本は世界でも有数の長寿国と言われていますが、実は平均寿命よりも健康寿命は短いことが知られています。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。日本人の平均寿命と健康寿命の差は、男性で約9年、女性で13年となっています。つまり、女性の場合、健康上の問題を抱えてから13年間も生活をおくることになるというわけです。

では平均寿命ではなく健康寿命を延ばしいくためには、どのような対策を行う必要があるのでしょうか。

日常の食生活や適度な運動などに配慮するだけでなく、住宅についてもより健康的な環境を実現していくことが大事になります。
例えば、夏涼しく、冬暖かい住環境を実現することで、エアコンなどに過度に頼り過ぎない環境をつくりだすことも大事になるでしょう。
最近では住宅の断熱性が高いほど病気になり難くくなる可能性があることが様々な研究によって分かってきています。
住宅の断熱性能を高め、住宅内の温度差を解消することで、ヒートショックなどの発生を抑制することも大切なポイントです。

また、最近ではインターネットなどを活用し、自宅に居ながら健康管理が行えるというサービスも登場してきています。
歩数計や体重計など通して生体情報をリアルタイムで計測し、そのデータを、インターネットを介してサーバーに蓄積していきます。
こうした情報をもとに健康管理のための情報などを提供しようというサービスが実用化されてきています。

まだ実験段階ではありますが、積水ハウスではウェアラブルセンサー(体に身に付けるセンサー)を心臓の近くに貼り付け、心拍数や呼吸数、表皮温度、消費カロリー、ストレス度合いなどの生体情報をリアルタイムで計測し、その情報をもとに健康や食生活に関するサポートを行おうとしています。

シニアの話  住宅が健康づくりの場に
積水ハウスはウェアラブルセンサーを心臓近くに貼り付け、リアルタイムで心拍数や呼吸数などの生体情報を収集する実証実験を行っている

将来的には、居住者の生体情報をもとにしながら、より快適な温度や湿度に調整するといったサービスも実現するかもしれません。
住宅は日常生活の多くを過ごす重要な生活基盤です。
その生活基盤をより健康的なものにすることからはじめることで、日本も長寿大国から健康大国へと変わっていくのではないでしょうか。