住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

“孤育て”の不安を解消 子育てママを助けるサービス付き住宅

子育てに対する不安を感じた時、あなたは誰に相談しますか。一昔前であれば、自分の両親や近所の“先輩ママ”に気軽に相談できる環境がありました。しかし、最近では地域とのつながりが希薄化しており、なかなか気軽に相談できない状況にあります。

さらに言うと、急用の際などに「ちょっとうちの子を見てて」と気軽に頼める知人が近所に居ないというお母さんも多いのではないでしょうか。結果として、子育てに不安を抱きつつも、その不安を誰にも打ち明けられない子育てママが増えています。まさに“孤育て”への不安が増大しているのです。

こうしたなか、子育てママを支援するためのサービスを備えた住宅が登場してきています。

例えば、旭化成ホームズでは子育てコミュニティの形成をコンセプトにした賃貸住宅「へーベルメゾン 母力(ぼりき)」を提案しています。
この賃貸住宅は、子育て世帯の入居者がコミュニケーションを図りながら、お互いに子育てに関する悩みごとなどを相談できる環境を創造するために、賃貸住宅でありながら共有スペースの充実などを図っています。

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旭化成ホームズの賃貸住宅「へーベルメゾン 母力(ぼりき)」では、子育て世帯を支援するためのサービスを提供

また、様々なイベントなども行っています。入居当初は同社がイベントなどを仕掛けていきますが、しばらくすると入居者が自発的にイベントを開催するようになるそうです。加えて、トランタンネットワーク新聞社が展開する「お母さん大学」を通じて、近所の“先輩ママ”を派遣するサービスなども行っています。

東急電鉄のシングルペアレント向けシェアハウス「スタイリオウィズ代官山」では、「子育てシェアサービス」というものを導入しています。このサービスは、AsMamaという会社が提供しているもので、子育てママ同士がお互いに助け合いながら子育てを行う仕組みを構築しています。

まず、子育てママが会員登録を行います。すると、自分が住んでいる地域や園・学校などの登録情報から自動的にグループが作成されます。仲間を集めてきて自らグループをつくることも可能です。そして、グループ内の子育てママに対して、託児や保育施設などへの送迎をお願いします。都合が合うママがそのお願いに応じます。ギブ・アンド・テイクの発想で、子育てをシェアしていこうというわけです。グループ内に支援できるママがいない場合、託児研修を受けた地域の「ママサポーター」が対応するというサービスも用意しているので安心です。

ここで紹介した以外にも、様々な“孤育て支援サービス”を導入した住宅が登場してきています。「子育ての不安を解消する」ということも住まいの重要な役割のひとつになってきているのです。