住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

新・大家族時代

旭化成ホームズの二世帯住宅研究所は、自社が供給した築30年前後の二世帯住宅を対象に調査を行い、その結果を「30年暮らした家族による二世帯住宅の評価と住まい継承の実態」という報告書にまとめました。

旭化成ホームズは2世帯住宅の生みの親。
1975年に業界で初めて二世帯住宅を発売し、今年で二世帯住宅は40周年を迎えます。

今回の調査結果では、実に91%の回答者が二世帯住宅に対して満足度していることが分かりました。
30年で家族形態も変化しており、同居開始時は6人家族が44%で最も多かったものが、現在は75%が2~4人家族になっています。
親世帯の逝去、さらには孫世帯の独立などによって家族人数が減っているようです。
その一方では予定まで含めると、約5割の二世帯住宅が親から子へ、そして孫へと引き継がれる予定になっています。
「住まいの継承」がしっかりと行われている様子がうかがえます。

今回の調査結果で印象的であった点が9割の孫が祖父母同居について「良かった」と答えている点です。
日本の家族形態は、大家族から単身世帯へと分化され、さらには家族さえも「個」へと分化されていきました。
結果として異世代間交流の機会が減少し、価値観の多様性が失われていったのではないでしょうか。

最近になって共働き世帯の増加に伴い、二世帯住宅に居住し、親世帯の支援を受けながら子育てと仕事を両立するケースが増えています。
祖父母と孫とが交流を図りながら暮らしをつむぎ、住まいを引き継いでいく。
かつての大家族像とは異なる、新たな大家族像が出現しつつあるのです。
新たな大家族像を支える二世帯住宅から真の「ダイバーシティ」が生まれるのかもしれません。