住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

終活より老活(おいかつ)  老いに備える住まいと暮らしの検討を

シニアの話  終活より老活(おいかつ)  老いに備える住まいと暮らしの検討を

平均寿命が伸び、人生100年時代と言われる中、男性は定年後、女性は子育てが終わった人生の長い後半戦をだれとどこでどう暮らしていくかは誰にとっても大きなテーマといえます。人生の終わり方を考えるのが“終活”ならば、その手前の時期を考えることを最近では“老活”(おいかつ)と呼ぶそうです。老いていく過程に合わせてあらかじめ暮らしや住まいを整えていくというもののようです。

誰しも住み慣れた我が家がいちばん。どんな調査データを見ても「最期は自宅で」が最も多いものです。老いを感じながらもできるだけ自宅に住み続けたいと願う人にとって、有効な手段のひとつが心身に合わせて住まいを整えること。そのためにも高齢期に備えた早めのリフォームを検討することも一考でしょう。

子どもが巣立ち夫婦ふたりでは広すぎる住まいを減築したり、ヒートショックを起こさないためにも断熱や窓などのリフォームも考えられます。断熱リフォームをすると室温が安定し住む人の健康改善が見られるとの実験結果も出ています。

国交省でも既存住宅の「改修ガイドライン」をまとめ高齢になる前のリフォームを推奨しています。「温熱環境」や「外出のしやすさ」、「トイレ・浴室の利用のしやすさ」、「日常生活空間をひとつにまとめて合理化する」ことは、とくに重要ポイントにあげています。

老いが進むと掃除や洗濯、整理整頓、料理といった家事全般が難しくなります。汚部屋やゴミ屋敷化する前に、掃除しやすい、片付けやすいコンパクトな住まいに住み替えることもシニア期を快適に過ごすうえで大事になってきそうです。

そしていよいよ自宅での生活が厳しくなる時期がやってくることも想定しておかねばなりません。認知症や介護が進んだ場合は、在宅で介護サービスを受けるのか、完全看護の有料老人ホームに入所するのか、その際に自宅は処分するのか、賃貸にするのか、etc。自分の健康具合、資産具合を見極めながら自分らしい暮らしと住まいを考えておく。老いの備えは早め早めの準備が肝心といえます。

(国交省ガイドライン資料より)