住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

光回線なのに遅い!! テレワーク増加で表面化するVDSL問題

新型コロナウイルス感染症の影響によって、自宅でテレワークをする人たちが急激に増えています。自宅で仕事をするうえで、非常に重要なインフラとなるのが通信環境です。

集合住宅に住んでいる場合、「私の家は光回線だから大丈夫‼」と思っていたら、意外と通信速度が遅くて困ったということはないでしょうか。それはVDSL方式のせいかもしれません。

「光回線」と銘打っていても、集合住宅の場合、光ファイバーが各住戸まで来ているとは限りません。分かりやすく言うと、集合住宅の共有部までは確かに光回線がきていますが、各住戸は電話回線やLANケーブルを使っていることがあるのです。とくに電話回線を使用している場合が多く、これをVDSL方式と呼びます。光回線方式の通信速度は最大1Gbpsで、VDSL方式はその10分の1の100Mbps。

通常であれば、この性能でもテレワークは行えるかもしれませんが、家族全員で同時にスマホやゲーム機をネットにつなごうとすると、回線速度が遅くなる懸念があります。

さらに、今後、5G時代の到来で動画などのデジタルコンテンツのクオリティが上がっていくことで、VDSL方式では対応できない場面が出てくるかもしれません。

分譲マンションでVDSL方式を光回線方式に変更するためには、いくつかのハードルがあります。まずは既存の配管設備などを活用して光ファイバーを各住戸にはわせることができるか。ちなみに、建築基準法の改正によって、今ではエレベーターシャフトの中に光ファイバーを通すことが可能になっているため、上層階まで光ファイバーを届かせることができます。

工事費がどうなるのかという問題もあります。共有設備などを変更することになるので管理組合での話し合いも必要になるでしょう。

新型コロナウイルス感染症によって、自宅でテレワークを行う人が増えると言われていますが、今後はこうした通信環境も住まいを選ぶ際の重要な判断材料になりそうです。