住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

“おうち時間”を楽しくする開放的な住まい 耐震性能の低下に注意

熊本地震で分かった 建築基準法の耐震基準だけでは安心できないという事実 

壁が少なく、窓も大きな開放的な住まい―。多くの人が理想とするの住まいではないでしょうか。新型コロナウイルスの影響でおうち時間が増えるなか、より一層、開放的な住空間を求める人が増えそうです。

ただし、開放的な住まいを実現するうえで注意すべき点もあります。開放的な空間を創造するためには、できるだけ壁の量を減らす必要がありますが、そうなると設計上は法律で定める耐震性能をクリアしていても、実際に地震が発生した際に思わぬ被害が発生する心配があるのです。

建築基準法における耐震基準については、1981年6月に大きく改正されました。そのため、81年6月以前に建築された住宅の多くは、現行の耐震基準をクリアしていません。さらに、2000年5月にも大幅改正があり、耐震基準はより強化されています。

それだけに、建築基準法で定める耐震基準をクリアしていれば安心できそうですが、必ずしもそうとは言えないのです。

2016年に発生した熊本地震では、現行の耐震基準をクリアしている木造住宅であっても、倒壊・崩壊した事例がありました。倒壊・崩壊した木造住宅には、筋交いの接合部の仕様が不十分といった施工上の問題があったものや、現行の耐震基準は満たしているものの、壁の位置のバランスが悪く、構造的な弱い部分があった建物もありました。

多くの住宅被害が発生した熊本地震

つまり、いつ大地震が起きても不思議ではないという状況のなかで、解放感を得るために闇雲に壁量を減らしていけば、耐震基準を満たしていても地震によって倒壊・崩壊する懸念があるというわけです。

まずは耐震等級3を基本に考える

こうした事態を防止するためには、建築基準法上の耐震基準以上の性能を確保することが大切になります。住宅性能表示制度の耐震等級では、建築基準法レベルのものを耐震等級1、さらには壁量を1.25倍にすると耐震等級2、1.5倍にすると耐震等級3と評価されます。

地震への備えを万全にするためには、耐震等級3を基本として、場合によってはさらに耐震性能を高めることを検討するべきでしょう。

壁を増やせば開放感を損なうというジレンマを解消するには

しかし、ここで別の問題が発生します。壁量を増やしていくと耐震性能は高まりますが、解放感は損なわれていきます。“壁が少なく、窓も大きな開放的な住まい”という理想が遠のいていくのです。

この問題を解決するためには、「ここぞ」という部分の壁の耐力を強化することで、壁量を増やすことなく、耐震性能を高めていくことが求められるのです。

住宅に使う壁には壁倍率というものが設定されています。この壁倍率が高いほど、強い耐力を備えているのです。

壁倍率15倍 日本一の耐力壁の実力とは

アキュラホームが“日本一の強さ”を掲げ独自に開発した耐力壁「トリプルストロングウォール」は、壁倍率15倍という強さを備えています。1枚の壁で一般的な木造住宅の耐力壁7枚以上の強さを持っているそうです。

この「トリプルストロングウォール」を活用した同社の新世代木造SE「大空間の家」は、優れた耐震性と開放感を両立しています。しかも、1000万円台~というハイコストパフォーマンスも実現。

「トリプルストロングウォール」を活用した新世代木造SE「大空間の家」

アキュラホームでは、「トリプルストロングウォール」の強さをより分かりやすく消費者に伝えるために、耐力壁の実証実験を技術研究所で実施しました。その様子をオンラインでライブ配信し、5706組が視聴したそうです。

実験では、一般的な耐力壁6枚と「トリプルストロングウォール」1枚を、重機を用いて引っ張ることで、視覚的に強さの違いが分かるように配慮。実験の結果、一般的な耐力壁が約61kNの力で破壊されたのに対して、「トリプルストロングウォール」は約81kNの力が加えられた段階で壊れました。

開放感な住まいが欲しいけど、地震にも備えたいなら、「強い壁」について考えてみてもいいかもしれません。