まちなかの廃校となった屋上の会員制の菜園で畑しごとを始めたのは1年半程前。季節の野菜を種から植え育て収穫することを楽しんでいる。
新型コロナでステイホームを余儀なくされた日々でも、土に触り、雑草を摘み、ぐんぐん成長している野菜の様子をみているだけで、元気をもらえる気になった。自粛生活のなかでもお子さん連れの会員さんたちには開放的な屋上空間が息抜きの場にもなっているようだった。
毎月一回は会員さんが揃って、専門家の指導が受けられる作業日というのがある。その月にあった季節の野菜の種や苗を植えて、毎月作業日には成長ぐあいをチェックしてもらったり、お悩みや疑問に答えてもらう。ここしばらくはコロナ対策で開催されず、そのかわりにzoomによるオンライン指導が行われたりもした。畑の状況をカメラで見せてもらいながらの質疑応答は、畑になかなかこれない会員さんにとってはありがたかったのではないかと思う。
コロナを機に家庭菜園がブームになっていると聞く。以前から貸農園や畑のシェアが注目されていたが、ここにきて日常の楽しみとしての菜園が注目されているのだろうか。郊外の住宅地が見直されているというのも根っこではつながっている気がする。都心に点在する空き家や空き地、免許返上し不要となった車庫や駐車スペースを畑にリフォームするケースがでてくるかもと密かに思っている。
畑しごとをしていると天気に敏感になる。雨が降らない日照りの日々が続くと「水やりにいかないと」と思う。またしばらく畑にいってないと雑草が気になるし、収穫の時季になると虫に食われてないかと心配にもなる。屋上は一般のいわゆる畑とは違い、鳥などの天敵があまりいない代わりに土が乾燥しやすく水やりも頻繁。週に二回は管理会社の人が水やりしてくれるが、夏の時季はほぼ毎日のように水やりしなければならない。
いまは梅雨に入り、あまり水やりの心配はないが、昨年のような豪雨が何度もある天候不順な年はこれまでの常識は通用しない。作付けがその年の天候に大きく左右される。野菜づくりも一期一会なのだ。
2月に植えたじゃがいも・キタアカリを見にいくと葉っぱが枯れている!1週間前は青々とした葉っぱで覆われていたのに(泣)。管理会社の担当者に駆け込むと「もう収穫していいよというサインですよ」と言うではないか。昨年より早く植えたから収穫時期も早いのをすっかり忘れていたのだった。よかったよかった。安堵しながら土を掘り起こしてみると、小ぶりのじゃがいもがごろごろ出てきた。昨年より収穫量は少ないが、それでもうれしい。一方、半年畑で育てたにんにくも葉っぱが枯れたからそろそろ抜き時かと抜いてみたらこちらは抜くのが早かったのか小さい。「みそづくりは毎回初心者」といっていた母の言葉を借りれば、「畑しごとも毎回初心者」と言い訳したくなる。
(つづく)