住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

ニューノーマルな暮らしを支える住まいを考える4つのポイント

生活の大半を過ごす住まい どうすればニューノーマルな暮らしを実現できる!?

新型コロナウイルスの影響で、新しい生活様式にそったニューノーマルな暮らしを実践することが求められています。それでは、生活の大半を過ごす住まいにおいて、ニューノーマルな暮らしを実現するためには、どのような点に配慮すればいいのでしょうか。

最近発表されたミサワホームとアキュラホームの住宅を参考にして、ニューノーマルな暮らしを支える住まいについて考えていきましょう。

ニューノーマル時代の住まいを具体化したミサワホームの「プライム スマート」。

ポイント① ウイルスを持ち込まない 除菌エリアを設定しよう

まず重要になるのは、外部から帰宅した際にウイルスなどを室内に持ち込まない工夫でしょう。

アキュラホームでは、新生活様式を盛り込んだモデルハウスにおいて、玄関を「ウイルス除菌エリア」にする工夫を提案しています。土間スペースの玄関に、バキュームシステムを設置し、帰宅時に衣服に着いたPM2.5や花粉、粉塵などを吸い取るようにしているほか、靴やカバンを除菌できる除菌ライトも設置しています。

アキュラホームのモデルハウスでは、除菌エリアを設定し、玄関から直接洗面・脱衣所に移動できる動線を確保。

さらに、新型コロナウイルスを不活性化できることが確認されているオゾン発生器も設置。そのほか、宅配ボックスや接触感染リスクを極力軽減できる玄関などを提案しています。

そのうえで、玄関から直接洗面・脱衣所に非接触で移動できる動線を確保しています。

ミサワホームがニューノーマルな暮らしを楽しむ住宅として発売した「プライム スマート」では、帰宅したらすぐに手洗いができる動線を確保しているだけでなく、玄関脇のファミリーロッカーにコートやカバンをしまうことで、花粉やウイルスを室内に持ち込むリスクを軽減します。

除菌エリアを設定し、そこから洗面所などへの動線を確保する。ニューノーマルな暮らしの実現に向けて、この点が第一ステップになりそうです。

ポイント② 換気の徹底を 熱中症にも注意が必要

万が一、ウイルスを室内に持ち込んだ場合、家庭内感染のリスクを減らすためにも適切な換気を行う必要があります。

ミサワホームの「プライム スマート」では、邸別一定風量制御によって、それぞれの建物に合わせた最適な換気量を運転する新型のフロアセントラル換気システムによって、省エネ性・快適性を保ったまま、HEPAフィルターで外気を浄化して取り込むようになっています。

ミサワホームでは邸別一定風量制御によって、それぞれの建物に合わせた最適な換気量を確保

アキュラホームのモデルハウスでは、全館空気清浄ユニットと全館空調システムを組み合わせることで、ウイルスに近い粒子径を高効率で捕集し、家中の空気を常にきれいに保つ工夫を施しています。

既に住んでいる住宅では、ここまでの設備を導入することは難しいでしょうが、適切な換気量を確保することが大切です。ただし、大半のエアコンには換気機能がないため、窓を解放しエアコンをストップさせてしまうこともあるでしょうが、その際には熱中症対策にも注意する必要があります。熱中症で緊急搬送された場所では、自宅などの住宅内が最も多いというデータもあります。

(公社)空気調和・衛生工学会と(一社)日本建築協会では、「新型コロナウイルス感染症制御における『換気』に関して『換気』に関するQ&A」という資料を公開しています。こうした資料も参考しながら、住まいの換気対策について検討してみましょう。

ポイント③ 抗菌・抗ウイルスのアイテムを活用 エビデンスの確認も

新型コロナウイルスの影響もあり、抗菌・抗ウイルス機能を持った建材などが注目を集めています。

ミサワホームの「プライム スマート」では、抗ウイルスプッシュハンドル、抗菌フローリング、抗ウイルスクロスなどの建材・内装材を提案しています。

ミサワホームでは、抗ウイルスプッシュハンドル、抗菌フローリング、抗ウイルスクロスなどの建材・内装材を提案。

現在、多種多様な抗菌・抗ウイルスをうたうアイテムが登場してきています。とくに接触頻度が高い部位については、こうしたものを利用することが有効でしょう。ただし、なかにはしっかりとしたエビデンスがないものが存在していることも事実です。

第三者機関などの試験を通じて、しっかりとしたエビデンスが確保されているのか。そういった点も気にしながら、抗菌・抗ウイルス機能を持ったアイテムの活用を検討してみましょう。

ポイント④ 在宅ワーク・学習のための空間作り 変更可能な柔軟性も大事

在宅ワーク・学習のための空間を確保しておくということも、ニューノーマルな暮らしを実践するためには不可欠でしょう。

アキュラホームは、稼働間仕切りによりリモートワークのためのスペースを創造する提案

アキュラホームのモデルハウスでは、稼働間仕切りによりリモートワークのためのスペースを創造する提案を行っています。壁と収納を兼ね備えており、仕事に必要な書類等を置く場所にも利用でき、防音効果も兼ねています。

ミサワホームの「プライム スマート」でも、テレワーク専用の個室「ミニラボ」や、親子そろっての仕事、学習に適した「ホームコモンズ設計」を採用しています。「ホームコモンズ設計」は、子どもの成長に合わせて住まいにおける学びの空間をステップアップする設計手法です。

在宅ワークや在宅学習のための空間は、今後、住まいにとって必要不可欠な存在になりそうです。ただし、あまりにも用途を限定した空間を作ってしまうと、家族の成長やライフスタイルの変化によって、間取りや空間の使い方を変更したいとなった時に、融通がきかなくなる心配もあります。

ミサワホームの「ホームコモンズ設計」

それだけに、可変性を持たせたワークスペース空間を検討するということも考えておきましょう。

なお、ミサワホームの「プライム スマート」では、様々な防災対策も盛り込んでいます。平常時だけでなく、災害時であっても、避難所のキャパシティなどを考えると、住まいに留まり続けることが求められるかもしれません。災害時に避難所になる住まい-。こうした視点もニューノーマルな暮らしを実現する上では大切ではないでしょうか。