住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

施工品質から考える 住まいのアタリとハズレ

自動車や家電などの工業製品を購入する時、同じ商品であれば品質や性能に大きなバラツキがあるということは少ないでしょう。ところが住宅の場合はそう簡単な話ではありません。工業製品とは異なり、工場で全てを作ることが不可能で、最終的には現場で組み立てるという工程が必要になるからです。

最近では住宅の性能値を訴求する会社も増えていますが、その多くはあくまでも設計上の性能です。実際に建った住宅の性能を実測したわけではありません。

設計上の性能が同じ住宅であっても、施工品質が大きく違っていれば実際の性能値は異なるのです。極端に言うと、同じ会社の同じ設計性能を備えた住宅であっても、施工品質にバラツキがあれば、「アタリの家」と「ハズレの家」が存在してしまうことがあるのです。

施工品質によって完成後の性能値にバラツキが出ることも(写真はイメージ)

だからこそ、多くの住宅会社が現場検査などを徹底することで、設計上の性能が確実に発揮されるような施工品質を担保しようとしているのです。マイホームの建築を依頼する際には、設計上の性能値だけでなく、施工品質の向上に向けた取り組みにも注目してみましょう。

また、気密性能などを完成後に実測し、その結果を明示する住宅会社もあります。簡単に言うと、気密性能が高いほど隙間が少ない住宅であるということですが、できるだけ隙間なく仕上げるには一定以上の施工品質を確保することが求められます。

ある意味では、気密性能の実測値は、その家の施工品質を示すリトマス試験紙にもなり得るのです。実測した気密性能と設計段階で算出した気密性能に大きな違いがないということは、しっかりとした施工が行われている現れでもあります。

もちろん、気密性能だけで住宅全体の施工品質を完全に確認することはできませんが、ひとつの目安にはなるでしょう。また、社の施工品質に自信があるからこそ、気密性能の実測を行うことができるのかもしれません。