この時期の花で楽しみにしているのが「ブラシノキ」。瓶を洗うブラシそっくりの花が咲く珍しい庭木だ。
最初見たのは鎌倉のフレンチのお店の庭で。白い洋風の家に真っ赤なブラシノキが映えてとても美しかった。
ある日の早朝、気がむいた私は、いつもとは違う道を通って駅に向かった。急こう配の階段を上っていると、モダンな家の高い塀からにょきっと顔を出すのは真っ赤なブラシノキではないか!「ああ、こんな近くにもあったのね」。
狭い庭のお宅ではあるけれど、ブラシノキのほかにもピンクのバラが咲いている。それはまるで階段を上る人へのご褒美にも思えた。自分だけが楽しむ庭もあるが、道行く人にも楽しんでほしい、という優しい気持ちにも思える。
花のある道を歩くのは実に楽しいなあ。