住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

経済産業省の関連施策から考える これからの住宅業界

創樹社が主宰する住まい価値総合研究所(スマカチ)は、2025年10月23日に第104回スマカチ・シンポジオ「経済産業省の関連施策から考える これからの住宅業界」を開催した。今回は、経済産業省 住宅産業室の潮崎雄治 室長を講師に招き、省エネ・GX分野を中心に住宅産業関連の施策を聞いた。

GX需要を呼び起こす
海外展開支援で産業競争力強化も

経済産業省は、エネルギー政策を基盤に据えた住宅関連施策を推進している。現在、国土交通省や環境省と連携しつつ、特に住宅設備に着目して2050年に脱炭素の達成を目指す各種施策を強力に展開している。

家庭・業務部門の脱炭素目標達成に向けては、2023年からの5年間を「集中先行投資期間」と定めた。この期間に3省連携で住宅省エネキャンペーンを展開し、5000億円以上のGX予算を編成している。これは単なる補助金ではなく、GX製品の需要を国が先行して創出し、量産化によるコストダウンを促すことで、民間投資を呼び込む事業促進サイクルを生み出すものとなっている。

給湯器の省エネ化の観点では、メーカーに対し、熱源の種類に依らず非化石エネルギーへの転換を促す新たな制度の検討を行っている。

さらに、建物の建築から運用、解体までに排出されるCO₂を評価・可視化する建築物LCA(ライフサイクルアセスメント)の制度化も進めているところだ。2028年度以降に新築される大規模建築物(5000㎡以上)から、LCA対応を求めることを検討している。

政策のもう一つの柱が産業競争力強化だ。具体的には、日本の住宅産業が海外市場で成長するための支援を展開する。日本の高水準な省エネ・断熱技術は、グローバル市場でも高い評価を得ている。経済産業省では、JETROなどの関係機関と連携し、外国の法制度への働きかけや販売支援など、住宅産業の海外展開を後押しする施策を推進している。

「経済産業省として、海外で住宅を直接売るための販売支援はできないが、日本企業の海外展開を支援することはできる。ぜひ、海外展開という視点も持って事業に臨んでもらいたい」と話す。

DXでの物流対策は不可避

そのほか、経済産業省では「物流の2024年問題」に対する中核的な取り組みとして、建材・住宅設備ワーキンググループを介して「建材物流コード」の制度構築にも取り組む。これは、製品の製造から施工現場への納品に至るまで、建材一つひとつの情報を一元的に管理できる統一的な商品識別コード。ハンディ端末で読み込むことで、簡単に建材の識別が可能になる。これまでは建材メーカーごとに異なる品番が使われており、現場への納品の際に目視で伝票と照らし合わせながら検品を行っていた。建材物流コードを普及させることで、検品時間を大幅に削減できる可能性がある。

さらに、建材を7つのグループに分け、各グループ内で共同配送による次世代の物流ネットワークを構築する検討も進めている。「トラックの積載率向上や最適なルート選定をAIやIoTを駆使して行い、配送の効率化につなげたい」(潮崎室長)考えだ。

経済産業省の取り組みを紹介する潮崎室長