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野村総研が解説 どうなる!? 2026年度の住宅・不動産市場

創樹社が主宰する住まい価値総合研究所は、2026年4月22日に第109回シンポジオ「どうなる!? 2026年度の住宅・不動産市場」を開催した。今回は、野村総合研究所から大西直彌氏、溝口卓弥氏、出口満氏の3名を講師に迎え、2026年度の住宅・不動産業界の動きを解説してもらった。

持家は住まいのゴールにあらず

講演では、まず大西氏が新設住宅着工戸数の展望について解説した。これまでの着工戸数は、単身世帯の増加を理由に、同研究所の予測よりも高水準で推移してきた。しかし、直近では金利の上昇に加え、人手不足や資材・地価高騰によるコスト増により、住宅取得環境が悪化している。

うしたなか、今後は世帯数の減少、住宅ストック性能の向上、経済成長の鈍化などにより、着工戸数が2030年度に80万戸、2040年度には61万戸へ減少する見通しだ。ただ、都市部では持家・分譲が減少する一方、貸家の着工が堅調に推移し、「貸家シフト」が進むと予測される。最近の若年層が持家に固執していないことも、この要因の一つだという。大西氏は、「かつての住宅すごろくが現在では崩壊しつつあり、持家がゴールではなくなってきている」と指摘する。

中間層に「アフォーダブル住宅」を

次に、溝口氏が手頃に住めるアフォーダブル住宅の必要性について語った。

東京都では、民間事業者とのファンドや、東京都住宅供給公社との連携を通じて、アフォーダブル住宅の供給を進めている。また、同住宅の整備戸数に応じてマンションや複合施設の容積率を緩和する新制度も2026年度中に導入する方針だ。

一方、海外に目を向けると、サンフランシスコではアフォーダブル住宅の要件を満たすプロジェクトに対し、高さ・容積率等の緩和を行うことを法制度化した。台北では住宅・家賃価格の高騰が若者の居住や結婚・出産を阻害するとし、最大で10万円にもなる賃料補助を政府が展開。イギリスでは民間事業者に対して、開発する全住戸の30~50%をアフォーダブル住宅にすることを義務付ける「S106協定」を導入している。さらに、ロンドン限定だが、一次取得者に対し分譲住宅を市場価格の3~5割引きで販売する「First Homes」制度などもある。

溝口氏は、「現状で住宅が買える富裕層だけにビジネスをしても、市場は長続きしない。中間層にこそアフォーダブル住宅が必要」と訴える。

GX ZEHをいかに増やすか

最後に、2050年にストック平均でZEH水準の省エネ性能を確保する国の目標達成に向けた普及戦略を、出口氏が説明した。

新築対策としては、現在のZEH水準に留まらず、より上位のGX ZEH水準を満たす新築の比率を高めることが重要だ。具体的には、2050年までに1050万戸のGX ZEH住宅を新築する必要がある。一方、改修対策では、ZEH水準の住宅を追加改修してGX ZEH化していく、非ZEH住宅をZEH化していくなどの対応が求められる。

なお、こうした取り組みには補助金による助成が不可欠だが、「補助金に頼り過ぎないアプローチも考えていく必要がある」と出口氏は警鐘を鳴らした。

左から溝口氏、出口氏、大西氏