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脱炭素社会の実現に向けてくらし分野のGXを推進 環境省の住宅・建築分野の施策展開

創樹社が主宰する住まい価値総合研究所(スマカチ)は、2026年6月15日に第110回シンポジオ「環境省の住宅・建築分野の施策展開」を開催した。今回は、環境省地球環境局 住宅・建築物脱炭素化事業推進室長の寺井徹氏を講師に招き、住宅・建築物の脱炭素化に向けた環境省の取組についての最新動向などを聞いた。

住宅の省エネ化、課題は消費者意識
支援サイト、ツールなど活用を

国は、温室効果ガス排出量を2030年度までに13年度比で46%削減する目標を掲げている。このうち家庭部門については同66%削減と高い目標を示しており、この実現に向けては住宅の省エネ化が重要なカギを握る。しかし、24年度時点の削減率は29.9%にとどまっており、取組の加速が急務となっている。

住宅の省エネ化を進める上で課題の一つとなるのが、消費者による支払い意思額(ウィリングネス・トゥ・ペイ)の低さだ。住宅の新築、改修のどちらにおいても内装設備・建材などと予算の取り合いが生じ、省エネ性能向上にまで予算が回らないケースは少なくないという。寺井氏は、「例えば同じ100万円をかけるのであれば、キッチンなどをグレードアップしたいと考える人が多い。省エネは目に見えないだけに、ここに対する予算をかけたいという思いが上がらないと、住宅の省エネ性能は上がっていかない」と指摘する。

こうした課題の解決に向け、環境省は2025年3月に省エネ住宅の情報を集約したポータルサイト「住宅脱炭素NAVI」を開設した。このサイトでは、一般消費者だけでなく工務店や自治体の関係者などに向けて、ZEHの普及促進、既存住宅の断熱改修の重要性などを幅広く解説している。また、高断熱住宅・リフォームのメリットや、都道府県・市区町村ごとに活用可能な支援策を検索できるページも用意した。

さらに、「先進的窓リノベ事業」の一環として、健康面などから断熱改修のメリットを訴求するショート動画や、自社の印鑑を押すだけでそのまま活用できる三つ折りの啓発チラシなども提供している。寺井氏は「環境省が発信している内容であれば、住宅提案の際に消費者にも耳を傾けてもらいやすい」と述べ、住宅事業者への積極的な活用を呼びかけた。

環境省の取組を解説する寺井氏

ライフサイクル全体を見据えた脱炭素化へ

また、住宅に限らず建築分野の脱炭素化においては、建物のライフサイクル全体でのCO₂排出量(ライフサイクルカーボン)を削減する視点も欠かせない。環境省は、この算定・削減に向けた支援策を本格化させている。

その一環として推進しているのが、製造時のCO₂排出量を抑えた「低炭素型建材」の活用だ。26年度から、建築物をZEB化する際に低炭素型建材を使用する事業への補助を開始した。今後、低炭素型建材の供給体制の整備が進むにつれてさらなる需要喚起が必要になるとの見方から、補助金の交付を通じた需要拡大を図る。一方で、補助金の交付が終了した後に需要が低下しないよう、市場創出に向けた取組も並行して進行し、「脱炭素に対する一定のコスト負担が受け入れられるような社会を目指していく」(寺井氏)方針だ。