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ウッドステーションが築く新たなビジネスモデル みんなの工業化を実現する受託加工サービスとは

在来木造の工業化を推進 職人依存からの脱却を図る木造大型パネルの受託加工サービスとは

住まい価値総合研究所は、10月25日に「ウッドステーションが築く新たなビジネスモデル みんなの工業化を実現する受託加工サービスとは」と題して第36回シンポジオを開催した。ウッドステーションの塩地博文代表取締役社長を講師に迎え、ウッドステーションの成り立ちから展開する事業モデルなどについて語ってもらった。

「住宅の高性能化に伴い部材は重くなるなど、現場への負担は増し続けている。問題を解決するには、プレハブ化、工場生産比率を高めていくほかない」と話すウッドステーションの塩地博文代表取締役社長
10 月25 日に行った第36 回シンポジオの様子。ウッドステーションの成り立ちから展開する事業モデルなどについて語ってもらった

ウッドステーションは三菱商事建材と大手ハウスメーカーの木質パネルを製造するテクノエフアンドシーが共同事業として展開してきた「木造大型パネル受託加工サービス事業」を分割させて4月2日に設立した。5月21日に第三者割当増資を実施し、パナソニック アーキスケルトンデザイン、YKK APが新たな株主として加わり、資本金及び資本準備金3億円の新会社として6月より事業をスタートした。

国内の新築住宅市場は、少子化や生産労働人口の急減などにより縮小傾向にあり、木造建築を手掛ける熟練工も減少を続けている。大工不足が急速に進む一方で、ZEHなど住まいの高性能化へのニーズが高まり、大工へ様々な要請が集中していることが大工の減少に拍車をかけ、近い将来、大工だけでは住宅建設に対応できなくなるのではないかという懸念が高まっている。そこで、ウッドステーションは工場で建築部材を組み立てる「木造大型パネル」により大工の一番の負担になっている躯体施工の分野の工業化を進める。

木造大型パネルとは、住宅用資材として一般流通している柱や梁、耐力面材、断熱材、サッシ、金物、防水シートなどを一体成型したもの。従来からある羽柄パネルとは異なり、柱や梁といった構造材までもひとつのパネルに組み込み、躯体施工の部分を工業化することで大工の負担を軽減する。各大型パネルには施工順を表記してあり、現場では、クレーン車で木造大型パネルを吊り上げ順番通りに設置していくことで簡単に組み立てられる。1日で上棟、サッシ、断熱、防水工事及び防犯対策まで完了することができ、大幅な工期短縮とコスト削減を実現する。

塩地氏は「住宅の高性能化に伴ってサッシなどの部材は重くなるなど、現場への負担は増し続けている。こうした問題を解決していくには、プレハブ化、工場生産比率を高めていくほかない」と話す。  同社は全国へ大型パネルの供給体制の拡充を図るため、「大型パネル生産パートナー会」の発足を目指す。提携する地域のプレカット事業者に対し木造大型パネルの製造ラインを無償で貸与し、プレカット事業者が製造した木造大型パネル製品を買い上げ、基本的には総代理店となる三菱商事建材経由で供給する。「全国ネットワークの構築に取り組みすべてのビルダーに開かれたオープンファクトリーの役割を果たしていきたい」と塩地氏。今後は工場への投資に注力するとともに、木材加工に関連するあらゆる事業者を対象に大型パネルパートナー会の説明会を開催し、参加企業を募っていきたい考えだ。