西川の社内研究機関である日本睡眠科学研究所が公表した「西川 睡眠白書2019~日本人睡眠調査~」によると、日本人の半数以上が不眠症の疑いがあることが分かりました。
これは、全国18歳~79歳の男女を対象に実施した1万人の基本調査と3000人の実態調査をもとにまとめたものです。
WHO(世界保健機構)が中心となり設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠判定方法「アテネ不眠尺度」の質問に則って調査したところ、全体の50.1%の人が「不眠症の疑いあり」となり、前年の49.3%を上回る結果となりました。
とくに20~30代の睡眠状態が悪い傾向
共働き世帯の増加で状況はさらに深刻に
年代別にみると、20~30代が平均よりも10%以上高い割合で「不眠症の疑いが高い」という結果になりました。また、10代、40代についても全体より比較的高い割合を示しています。こうした結果から白書では、「学生と働き盛りの人々の睡眠改善は昨年同様急務であると考えられる」と指摘しています。
通常は60歳ぐらいになると睡眠時間は短くなり、深い睡眠が減ってくるなど睡眠の質は低下します。しかし、今回の結果は逆になっており、若い子育て世代の不眠割合が高くなっています。この点について白書では、「社会的なストレスや不安が睡眠に影響している可能性が高い」と考察しています。
若い世代のなかでも未就学児を育てる母親に焦点を当ててみると、子育てするうえで自分の睡眠は十分に取れているかをたずねると、「まったく取れていない」または「あまり取れていない」との回答が6割を超えています。
その理由をあげてもらったところ、「家族の食事の準備のため」、「子どもが夜中に起きるため」、「子どもの寝相が悪いため」といった回答が4割を超えている状況です。
快眠のためにどんなことをしているかという質問に対しては、「子どもを早く寝かせる」「子どもと一緒に寝る」などのコメントがあがりました。睡眠時間を削らないようにしている人も多く、共働き世帯が増えるなか、うまく睡眠不足をコントロールしている実態がうかがえます。
なお、1万人対する基本調査では、全体的な睡眠の質について「満足」と回答した人はわずかに全体の3割に留まりました。昨年の満足者は31.8%でした、今回の調査では31.2%に低下しています。とくに10代・30代については、昨年の満足者が26.3%・25.2%であったのに対して、25.6%・24.8%に下降しました。
不眠に関する状況がますます深刻化し、睡眠の質に関する潜在的案不満が高まるなかで、住宅にも快眠を促す提案などが求められそうです。