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Well-Beingのススメ~幸せのメカニズムを学ぶ

9月26日、スマカチ総研は第45回スマカチシンポジウムとして「Well-Beingのススメ~幸せのメカニズムを学ぶ」をテーマに、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特任助教の岡本直子氏をお招きして開催した。

丸の内Vacansで開催された第45回スマカチシンポ

今、「幸せ」という主観的なテーマを科学的にアプローチする「幸福学」が注目されている。

海外では「Well-Being」として、海外や国内での論文発表やワークショップが活発化している。日常生活や職場などで実践的な手法として採用している動きも強まっている。

住まいと幸福とは切ってもきれない関係ともいえ、究極の付加価値と言ってもいいかもしれない。幸福のメカニズムを学ぶことは、これからの住まいを考える上でも大変重要なキーワードになるとの趣旨で開催した今回のスマカチシンポジオでは、初めてのワークショップ形式となった。参加者自らの幸福度チェックやグループメンバーとの対話、発表を通して、楽しみながら幸せについて理解を深めた。

幸せになる4つの因子
自分が幸せになると周りも幸せにすることができる

「Well-Being」(ウエルビーイング)とは「心と身体が良好な状態、よきあり方」を指し、幸せや楽しさを表す「Happiness」も含まれるのだそう。心理学や脳科学など科学的なアプローチによる「幸福学」では、幸せには長続きしない幸せと、長続きする幸せがあり、お金や物、地位といったものは長続きしない幸せ。一方、安心、健康、心といったものは長続きする幸せと定義している。この長続きする幸せについて、因果関係を調べ「幸せの4つの因子」を導き出した。

第1因子は「自己実現と成長の因子」(やってみよう因子)、第2因子は「つながりと感謝の因子」(ありがとう因子)、第3因子は「前向きと楽観の因子」(なんとかなる因子)、第4因子は「独立と自分らしさの因子」(ありのままに因子)。この4つが揃うと幸せな人ということになる。

ワークショップでは、4つの因子にもとづいた幸福度チェックを行いながら客観的な視点からの幸福度を見える化していく。できていないところよりもできているところをどう引き上げていくかが重要とのこと。

幸福度を上げる実践的なコツとしては、「口角を上げて笑う」「上を向いて大股で歩く」「1日3個、感謝する」と指南。特別なことではなくちょっとした心掛けで幸福度はあがっていく。「わかっていてもなかなか実践できない」との声も聞かれたが―。

「幸せは伝染します。あなたが幸せだと周りも幸せになります。この場も幸せ感でとても満たされています」と語る岡本氏。幸せについて考えているだけで幸せな気分になるから不思議だ。自分が幸せになると、それが周りの人やお客様へとよい影響として伝わるということだろう。まずはその第一歩を踏み出すきっかけを後押ししていただいたのではないだろうか。参加者からはWell-Beingのシリーズ化を望む声もあがった。