住宅ビジネスをもっと楽しく、もっと創造的に

ペット市場の新たなトレンドが生むビジネスチャンス~ペット保険業界と考える新しい“ペット×住”のカタチ~

住まい価値総合研究所では、5月12日にスマカチ・ゼミ「ペット市場の新たなトレンドが生むビジネスチャンス~ペット保険業界と考える新しい“ペット×住”のカタチ~」を開催した。会場は愛犬とともに食事を楽しめるレストランやドッグラン、ショップ、トリミングサロンなどを併設した愛犬ヴィレッジ東新宿。講師には、ペット保険大手であるアイペット損害保険のマーケット戦略部の吉村恵マネージャーと広報グループの福岡泉希氏の2 名を迎え、開催した。

5月12日に開催したスマカチ・ゼミ。テーマは“ペット×住”

飼育頭数は減少
それでも増え続けるペット市場

福岡氏によると、最近は猫の飼育頭数が増加する傾向にあり、2017年時点で猫の飼育数が952.6万頭、犬が892万頭という状況だ。猫の飼育頭数が増加している要因について福岡氏は、「犬を飼っていて亡くしてしまった方々がペットロスに陥り、新たに猫を飼うことが多いようです。飼主の方々が高齢化していることが多く、散歩などの必要がない猫を選ぶ傾向が強い」と分析する。

ただし、とくに犬については飼育頭数が減少する傾向にあるようだ。しかし、ペット関連市場は一貫して増加し続けており、2015年度の1兆4,743 億円から16年度には1兆4,983億円、17年度には1 兆5,135億円にまで増えている。

飼育頭数が減少しているにも関わらず、なぜ、市場規模は増加を続けているのか―。福岡氏は、「ペットの家族化が進み、人間同様にサービスや関連商品の多様化と1頭当たりの投資額の増加が見られます」と解説する。

実際に、ペットの存在について「子ども」と回答した飼主は73.0%に達している。

犬は横、猫は縦の動きに注意

吉村マネージャーの講演では、ケガや事故からペットを守る住環境づくりのポイントを解説してもらった。犬と猫の手術における原因別の平均保険金請求ランキングを見ていくと、犬は腫瘍がトップで11万4,289円、2番目が骨折の22万3,224円。猫は骨折の16万1,189円がトップで、2番目が異物誤飲の10万6,606 円。平均手術診療費は13万円にものぼる。

吉村マネージャーは、保険金請求ランキング上位の異物誤飲や骨折は居住環境に要因があると指摘する。例えば、異物誤飲については、ペットが口にしてはいけないモノが収納できるスペースやキッチンなどに入ることができない工夫などが求められる。また、骨折については滑らない工夫や段差の解消、飛び出し防止などの配慮が住宅に求められるそうだ。また、犬と猫では求められる事故対策も異なっており、犬は水平方向の移動が多いので横の動きに注意し、猫は高い場所などにジャンプするので縦の動きにも注意する必要がある。

多くの飼主がペットを家族の一員と捉える中で、住宅業界にも「家族であるペットの安全を確保」という意識で住空間づくりを検討する必要がありそうだ。

愛犬ヴィレッジ東新宿の施設見学も実施