住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

生活データでMCIを早期発見 居住者を暖かく見守る住まい

「軽度認知障害(MCI)」という言葉を聞く機会が増えてきました。65歳以上の高齢者の4人に1人はMCIまたは認知症であるということも言われています。

MCIは、文字通りの軽度の認知障害で、物忘れのような軽い記憶障害がありますが、まだまだ自立した生活をおくれるそうです。早期発見によって対策を行うことで症状が改善したり、発症を遅らせることができるといいます。

パナソニック ホームズでは、大阪府吹田市と連携して高齢者向け住宅の先導的モデル事業「patona吹田健都」というプロジェクトを始動させました。吹田市が所有する事業用地にパナソニック ホームズが地上7階建ての建物を建築。その建物内には、賃貸マンションやサービス付き高齢者向け住宅、小規模多機能型居宅介護事業所などの高齢者向け施設を整備しました。

また、国立研究開発法人 国立循環器病研究センターと共同でMCIの早期発見に関する研究も進めていきます。

高齢者向け住宅の居室やテレビ、トイレなどにセンサーを搭載させることで、プライバシーの確保に配慮しながら総合的な生活リズムを把握していきます。そのデータと医学的な診断結果などを照らし合わせながら、日常生活習慣の特徴と認知機能の変化の相関性を分析しようというわけです。

こうした調査結果をもとにして、日常生活のちょっとした変化をもとにMICを早期に発見できる体制を整えようとしているのです。

超高齢化社会を迎えるなかで、住宅内で営まれる生活に関するデータによって居住者の健康状態を維持・改善するような技術開発に期待が集まっています。住まいが居住者の健康状態を絶えず暖かな目で見守る―。そういう状況が実現する日もそう遠くないかもしれません。

賃貸マンションやサービス付き高齢者向け住宅、小規模多機能型居宅介護事業所などの高齢者向け施設からなる「patona吹田健都」
エアコンなどにセンサーを取り付け高齢者の生活リズムを把握しながら、MCIの早期発見を目指す研究を進めていきます。