住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

危険な入浴 住宅の断熱性能との関係も

冬になると楽しみになる入浴時間。ただし、楽しいはずの入浴時間にはリスクも隠れています。浴室内での転倒による事故や入浴中の溺死など、様々な危険が潜んでいるのです。

東京都健康長寿医療センター研究所では、年間1万7000名もの人がヒートショックに関連して入浴中に亡くなっていると推計しています。2021年2月3日時点での新型コロナウイルスによる死亡者数が6071名であることを考えると、ヒートショックがもたらす危険性が決して低くないことが分かるのではないでしょう。

消費者庁では、入浴中のリスクを抑制するために―

①入浴前に脱衣所や浴室を暖める

②湯温は41℃以下、湯につかる時間は10分まで

③浴槽から急に立ち上がらない

④アルコールが抜けるまで、また食後すぐの入浴を控える

⑤入浴する前に同居者に一声掛けて、見回ってもらう

―といった点に注意することを提唱しています。

また、最近の研究で室温と危険な入浴との関係も分かってきています。

(一社)日本サステナブル建築協会のスマートウェルネス住宅等推進調査委員会では、断熱改修前後の住宅において、居住者の健康状態や住まい方がどのように変化するのかを調査しています。

その調査結果から、断熱改修と適切な暖房などによって居間と脱衣所が18℃以上に保たれている住宅の場合、入浴事故リスクが高いとされる熱めの入浴を行う確率が低くなることが分かったのです。

また、断熱改修前後の入浴温度と入浴時間を調べた結果、断熱改修後の方が危険な入浴を行っている人の割合が減るそうです。

事故リスクを抑制し、快適な入浴時間を楽しむためにも、住宅の温熱環境が大事になりそうです。