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深刻化する空き家問題 解決にクラウドファンディングサービス

「クラウドファンディングを活用した街づくりのプラットフォームを構築したい」と語るエンジョイワークスの和田代表取締役

2017年12月に不動産特定共同事業法が改正され、新たに小規模不動産特定共同事業という枠組みが創設された。これによって、小規模のものに限り、中小企業でも不動産ファンドを立ち上げることが可能になった。また、インターネットを通じて少額の投資を広く募るクラウドファンディングを利用して、空き家などの遊休資産を活用するための資金を調達することも行いやすくなった。

この小規模不動産特定共同事業の許可を全国で初めて取得したのが、エンジョイワークスだ。住まい価値総合研究所では、2018年8月30日に開催したシンポジオにおいて、エンジョイワークスの福田和則代表取締役を講師に迎え、「深刻化する空き家問題 解決にクラウドファンディングサービス」と題したセミナーを開催した。

同社では、まちづくり“参加型”クラウドファンディングサービス「ハロープロジェクト」として、地域に残る遊休資産などを活用した街づくりを進めている。

その第一弾となったのが、神奈川県葉山町にある空き蔵を宿泊施設に改修するプロジェクト。クラウドファンディングにより調達した600万円と地域の金融機関からの1,000万円の融資を受けて、「泊まれる蔵」へと再生した。

福田氏は、「全国の空き家数が820万戸で、日本全体の家計資産のうち現預金が938兆円。これだけの不動産と資金を動かしながら、参加型の街づくりを進めていきたい」と語る。

同社の展開するプロジェクトでは、様々なイベントやワークショップなどを開催しながら、地域の住民などが街づくりを“ジブンコト化”することを後押ししていく。遊休資産の活用に関するアイデアなども出してもらいながら、次のステップである出資へとつなげる。また、改修工事などにも参加してもらうという。

プロジェクトの第二弾として、神奈川県鎌倉市で「〈逗子〉桜山シェアアトリエプロジェクト」も進めている。福田氏によると、様々なプロジェクトに携わることで小規模不動産特定共同事業のノウハウを蓄積していき、クラウドファンディングなどを活用した街づくりに関するプラットフォームを構築していきたい考えだという。そのプラットフォームを様々な企業が活用することで、より容易に投資型クラウドファンディングを利用した街づくりを行うことができるようになる—。そうした環境づくりを実現していきたい考えだ。