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アメリカの住宅業界にイノベーションを興す HOMMAが描く日本企業との協業戦略とは

創樹社が主宰する住まい価値総合研究所は、2019年5月21日、第43回目となるスマカチシンポジオを開催した。アメリカの住宅業界にイノベーションを興すためにシリコンバレーで創業したHOMMAのCEOである本間毅氏を講師に迎え、アメリカの住宅市場の状況とともに、HOMMAが描く今後の事業戦略について解説してもらった。

 アメリカの住宅業界にイノベーションを興す HOMMAが描く日本企業との協業戦略とは
「日本の住宅関連の技術や商品を次のクールジャパンに」と語る本間CEO
 アメリカの住宅業界にイノベーションを興す HOMMAが描く日本企業との協業戦略とは
本間CEOにアメリカの住宅市場の現状とHOMMAの戦略について語ってもらった第43回スマカチシンポジオ

アメリカの戸建住宅市場については、2018年に日本の新築着工戸数を上回り、供給不足という状況にあるという。加えて、日本と同じように人手不足も露呈しつつあり、新たなイノベーションが待たれている。

こうしなか2012年にアメリカで創業したHOMMAでは、「アメリカの住宅業界でテスラのようなイノベーションを興す」(本間CEO)という想いのもと、日本式の住宅技術も活用しながら、アメリカの住宅市場に新たな風を吹き込もうとしている。

本間CEOは、「アメリカの住宅業界は非常に保守的であり、外観のデザインも100年も前から大きくは変わっていない。しかし、これからテック系の企業で勤務するミレニアム世代が台頭してくると、保守的な住宅では満足できなくなってくるのではないか」と見ている。

また、住宅のつくり方についても、建具やキッチンキャビネットなどは現場で加工して施工することが一般的で、日本のようにユニット化されていない。職人不足が深刻化するなかで、日本のユニット化技術がアメリカの住宅市場で果たす役割は少なくないとも考えている。

日本の住宅関連の技術・商品を次のクールジャパンに

HOMMAでは、2018年から22年までの4年間にわたるプランを立てており、現在、そのプランを着実に遂行している。第一ステップとして、1969年に建った家を購入して、柱と梁だけ残したスケルトン状態にした上でリノベーションを実施。現在、その住宅を実験住宅兼オフィスとして使っているという。この住宅を「HOMMA ZERO」と名付け、現在は「HOMMA ONE」というプロジェクトを進めている。これは、土地を購入し、自分達が考えるデザイン、テクノロジー、ユーザーエクスペリエンスなどを盛り込んだプロトタイプの住宅。

さらに、次のステップとして、「HOMMA X(ten)」として、10軒まとまった小さなコミュニティを構築していくことを考えている。

こうした事業計画を日本企業と連携しながら推進していく方針で、住宅関連の企業との協働を進めている。日本の住宅関連の技術や商品を盛り込んだ形で販売していくことで、現地のビルダーなどへ採用を促すといった活動が必要なくなる。また、資金面でも金利が低い日本で資金を調達することを進めているところだ。

本間CEOは、「日本の住宅関連の技術や商品が独自の進化を遂げており、海外の方々にとっては驚く部分も多い。アニメや和食のようにクールジャパンとなり得る可能性を秘めている」と語る。