住宅分野でも建材設備のIoT化が進められようとしています。
その中で、鍵のIoT化である「スマートロック」が、にわかに注目を集め始めてきています。
スマートロックはアプリなどを利用しスマートフォンで開閉ができる電子キーのこと。現在流通しているものの多くが、ドアの室内側にあるサムターン部分に被せるだけで簡単に設置が可能です。設置には粘着シートを利用するため、既存の鍵を取り換えずに工事不要で取り付けられます。
スマートロックについては、アメリカで普及が進んでいますが、ここに来て日本でもITベンチャー企業などが開発を活発化させています。
例えば、ITベンチャーのフォトシンスはスマートロック「Akerun」を開発し、4月から販売を開始しました。
昨年12月にはソニーもベンチャーキャピタルのWiLとスマートロックの開発・製造・販売および運営サービスを提供する合弁会社Qrio(キュリオ)を立ち上げています。
また、昨年の末からは電通の子会社である電通ブルーがスマートロックの開発プロジェクト「246(ニーヨンロック)」の第一弾コンセプトモデルとして、南京錠タイプのスマートロック「246 Padlock(ニーヨンロック パドロック)」の販売を開始し、注目を集めています。
セルフ内覧や見守りサービスへの活用に期待
今なぜ、スマートロックなのでしょうか。
その大きな理由は鍵とスマートフォンがつながることにより、様々な市場で新たなサービスを提供していける可能性があるからです。
例えば、管理会社はスマートロックを利用することにより、シェアハウスや、シェアオフィス、コワーキングスペーススペースなどの管理の手間を削減できるようになります。こういったスペースは複数人が同じドアを利用するため、一人でも退去者が出ると鍵を変えなくてはいけなくなります。しかし、スマートロックを利用すれば、設定を変えるだけで良いため、鍵を交換するための手間とコストを省けます。
また、入居者や利用者の入退室の履歴データも残るため物件の管理に役立つと共に、履歴データを活用した新たなサービスも創出していけるかもしれません。
例えば、サービス付高齢者住宅などの高齢者の居住する賃貸住宅に設置しておけば、高齢者の外出・帰宅データを自動で管理することができ、高齢者の見守りに活かせるでしょう。