2030年は新築54万戸に半減、中古住宅流通は34万戸時代に……
人口減少社会となり、2020年からは世帯数も減少すると見込まれるなか、新築住宅の建設が2015年度の92万戸から2030年度には54万戸に激減する一方、中古住宅の流通量(売買数)は15年度26万戸から30年度には34万戸へ増えるという予測結果を、シンクタンクがこのほど発表しました。
野村総合研究所の「2030年の住宅市場予測」によると、人口や世帯数の減少に加え、住宅の長寿命化などの要因により、新設住宅着工は減少し続け、初めて住宅を購入する世帯数は2026~2030年の5年間で約275万世帯、1年平均で55万戸前後にとどまる見通しです。
その詳しい要因を見ると、
日本の総人口(国勢調査)は2010年の1億2,806万人から以後は長期の人口減少過程に入り、2015年1億2,711万人、2030年は1億1,662万人と推計。
世帯数は2019年をピークに減少に転じ2030年には約5,100万世帯へ。日本を移動する人口については、2015年の1,010万人から2030年には800万人まで減少すると推計。
つまり、住まいを新しくする人は少なくなり、移って家を建てる人も少なくなりそうです。
一方、耐久性の向上もあり、住宅ストックの平均築年数は、2013年の22年から2030年には29年近くに伸びていきます。
さらに、使わない住宅の除却や、住宅用以外への有効活用が進まなければ、2033年の住宅ストックは約7,130万戸へと増大し、空き家数は約2,170万戸、空き家率は30.4%へと上昇する見込みです。
こうしたなか、明るい材料のひとつになりそうなのが中古住宅流通量の増加です。
住宅購入者に野村総研がアンケートした結果、中古住宅を購入した世帯の比率は2005年の18%から、2015年には29%に増加。この傾向が2016年以降も続くと仮定すると、中古住宅流通量は2025年には31万戸、2030年には34万戸へ増加すると予測。その頃には購入世帯の約半数が中古住宅を選ぶとしています。
野村総研では、中古住宅流通をさらに活性化させていくためには、移動人口の拡大による「移住・住み替え・買い替え」が重要とみています。
中古住宅の価値が分かる評価システム、リフォームローンの充実、民間事業者による移住・住み替え・買い替えサポートなどの新規ビジネスをあげており、今後、注目を集めていきそうです。
出典:野村総合研究所・NRIニュース
「2016~2「2015~2030年までの既存住宅流通量の予測」