家余り時代が本格到来 全国820万戸、8件に1件が空き家に
戦後の住宅不足は遠い昔のこと。今、日本ではどんどん空き家が増え続けています。
2014年7月に公表された「平成25年 住宅・土地統計調査」によると、日本の空き家数は5年前に比べて63万戸(8.3%)増加して820万戸となりました。
住宅戸数すべてに占める空き家の割合も0.4%上昇し13.5%となり、空き家数・空き家率ともに過去最高を更新しています。
日本の住宅のうち約8件に1件が空き家になっているのです。
空き家の内訳を見てみると、「賃貸用の住宅」が52.4%、「売却用の住宅」が3.8%、「二次的住宅」が5.0%、「その他の住宅」が38.8%です。「賃貸用の住宅」と「売却用の住宅」を合わせると52・4%と、その過半数は流通可能なもので、まだ暮らすことができる住宅です。
問題は約4割を占める「その他の住宅」で、これらが社会問題化しつつあります。「その他の住宅」とは、賃貸用でも売却用でなく、放置されている住宅のこと。長期間放置されていると、建物の状態が悪くなり倒壊の危険性が高まるだけでなく、治安の悪化などにもつながります。しかも、「その他の住宅」の増加率は18.8%と空き家全体の増加率よりも高くなっているのです。
「空家特措法」など国も対策に本腰 住宅産業界は新たなビジネス創出も
増加する空き家に対し、国はその対策に本腰を入れ始めています。
2014年、空き家の適切な管理や利活用の促進策などを盛り込む「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。
この法律では、空き家の適切な管理や利活用を促すため、空き家の所有者を特定する目的での空き家への立ち入り調査を可能にします。
また、空き家の中でも特に周辺環境に悪影響を与えるものを「特定空家」として定め、自治体が修繕、立木竹の伐採等の措置・指導、助言、勧告、命令を行うことができます。
さらに、命令に従わない場合には行政代執行によって特定空家の除去も行えます。
税制面での対応も図りました。200㎡以内の土地は、住宅が建っていれば固定資産税が6分の1に軽減される特例があります。そのため、その住宅に住まなくなっても、そのまま放置され空き家増加の一因となっていると指摘されていました。
国は2015年度の税制改正で固定資産税の優遇を見直すことを決定。「特定空家」のオーナーに対し、市町村が必要な措置を講じることを勧告した場合、2016年度以降、固定資産税の優遇が無効になります。
こうした動きの一方で、民間の空き家ビジネスが活発化しています。東急リバブルや三井不動産リアルティ、積水ハウス、パナホームといった大手の住宅・不動産事業者が参入し、空き家の管理代行から賃貸・売買まで、新たなビジネスチャンスを探っています。
急増する空き家をめぐっては自治体でもさまざまな取り組みが始まっています。
人口減少・世帯数減少のなか、今後も空き家は増加していくと考えられ、その活用が大きな課題となっているのです。