住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

知らないでは済まされない地盤対策

地盤対策に対する重要性がますます高まってきています。
東日本大震災では、宅地の液状化被害や、宅地の崩落などの地盤トラブルが広い範囲で発生しました。
こうした地盤トラブルが報道を通じて大きくクローズアップされたことにより、専門家だけでなく、一般消費者の間でも住宅地盤への関心が高まってきています。

こうした中、地盤に関する情報をわかりやすく発信しようという動きが出てきています。

例えば、住宅地盤に関する様々な事業を展開するサードチェックアイ(大串豊社長、東京都)は
住宅地盤に関するポータルサイト「住宅じばん事典」を展開しています。
地盤の基礎的な知識や、地盤調査、地盤改良工事の方法、地盤会社などの情報をひとつのサイトに集約し、住宅事業者や一般消費者などが、地盤に関する情報を簡単に検索できるようにしています。

さらに、地盤に関する専門家の活用にも注目が集まっています。
その役割の担い手として注目を集めているのが(公社)地盤工学会などが中心となり創設した地盤の資格制度、地盤品質判定士です。
東日本大震災後、地盤工学会が建築学会や全国地質調査業協会連合会などに呼びかけ、地盤品質判定士協議会を設立。地盤に関する網羅的な知識・技術を有する人材の育成を目指し、地盤品質判定士資格制度を創設しました。地盤品質判定士は、宅地の造成者と不動産会社、住宅メーカーの間、または不動産会社、ハウスメーカーと施主の間に立ち、地盤の評価に関わる調査・試験を立案し、調査結果に基づく適切な評価を下すとともに、対策工事などを提案します。

加えて、地盤調査・解析技術も進化しています。
現在、戸建て住宅の地盤調査では、SWS試験(ロッドやスクリューなどによる試験装置を用いて、土の状態などを判定する)が広く普及しており、地盤調査の約8割を占めると言われています。
ただし、この方法は言わば簡易手法であり、地盤の状況を知るには限界があるという指摘もあります。

こうした課題を受けて、地盤調査・解析業最大手のジャパンホームシールドは、地盤調査の精度をさらに高める、スクリュードライバーサウンディング試験SDS試験)という新たな試験方法を開発しました。
地盤の地質をより詳細に判定できる試験方法を導入することで、不同沈下を起こす可能性をより高い確度で判定できます。

新浦安の住宅地

液状化対策に関するワンストップサービスも提供 

国土交通省では東日本大震災での液状化被害を受け、2015年4月から、住宅性能表示制度を見直し、液状化に関する情報提供の仕組みを導入しました。
これに伴い、液状化対策に関する調査や解析、書類作成などの業務をワンストップで請け負うサービス提供する地盤事業者も出てきています。

住宅地盤に対する社会的な関心の高まりを受けて、地盤業界は大きく変わり始めています。
消費者が安心して家を建てるための様々な提案が活発化してきています。住宅事業者や消費者も、地盤調査・工事などに関して確かな目を持つことが求められています。

住まいの液状化対策委員会からは、新刊書籍住まいの液状化対策が6月16日に発売予定。液状化に関する様々な疑問をQ&A方式で解説する。
編著 : 住まいの液状化対策研究会
編集協力 : 国土交通省 住宅局 住宅生産課