住まいや住生活にかかわる幅広い業種の企業が集まり、関連行政機関や団体、学識経験者、メディアなどの協力を得て、さまざまな視点から研究活動に取り組んでいます。

谷中を歩いた

住まい価値総合研究所は、先にHAGI STUDIOの宮崎晃吉代表取締役を招き「ネットワーク型宿泊設“hanare”にみる地域活性化の極意」と題してスマカチ・シンポジオを開催した。(講演の概要は「スマカチ通信」を参照)

東京都台東区谷中の築60年を超える木造賃貸アパートを最小文化複合施設「HAGISO」としてリノベーション、そのHAGISOを核として、全体をホテルに見立てた「hanare」を展開するなど、観光地として注目を集める谷中のまちに新たな価値を生み出し続けている。

「そこでしか経験できないことが価値となる」、「まちで最も価値が低いと思われていることものこそが宝」といった宮崎氏の言葉は、具体的に展開する事業とあいまって参加者に強いインパクトを与えたようだ。

そしてhanareである。

HAGISOがフロントとロビーで、朝食はHAGISO一階のカフェを使い、近所の空家をリノベーションした建物に泊る。大浴場は近所の銭湯で、食事やお土産、文化体験などは商店街などが機能する。先には木造住宅をリノベーションしてお惣菜カフェ「TAYORI」をオープンした。宮崎氏は「一つのエリアに色々な業態を入れていき、相乗効果を図る」ことを狙っている。

そんなまちが面白くないわけがない!! と、宮崎氏と打ち合わせを終えたその足で谷中を一回りしてみた。

JR日暮里駅の壁にプリントされていた谷中の地図。HAGISOは、谷中ぎんざや、夕やけだんだんと並んで名所として記載されていた。
JR日暮里駅の壁にプリントされていた谷中の地図。HAGISOは、谷中ぎんざや、夕やけだんだんと並んで名所として記載されていた。
個人的に期待していた冬でも行列ができるというかき氷屋さん。断念。
HAGISO。1階のカフェは平均して一日100人の人が訪れるという。
谷中はお寺と坂のまち。
Hanareの大浴場の役割を果たす、さんさき坂の銭湯。
一本入ると生活感がある路地と住宅が。
谷中銀座は平日の昼間でも国内外の観光客であふれていた。

宮崎氏は学生時代からこのまちに住み続け、古い建物が壊され、駐車場やマンションに変わるのを見てきたそうだ。また、急激な観光地化は谷中のまちに大きな負担ともなっているという。

リノベーションにより住宅ストックという財産をよみがえらせ、hanareにより人の流れを変える。

そこで暮らしているからこそ、そこにあるまちの魅力を、新たな価値として変転させることができるのではないだろうか。

(平澤)